港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京在住(石巻出身)オーナーYがゆるーく情報発信しています。

三種の神器 その1〈スポーツ自転車〉

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11月記事「中学生 3種の神器」各論その1。

小5の時に26インチ格安ジュニアスポーツを買ってもらった。確かイノウエというマイナーメーカーだった。ヤフオクで調べたら出てきた。

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写真は22インチフラッシャー付きなのでやや違うがフロントスプロケットのオレンジ花型の飾りは見覚えがある。「なんで花なんか」とドライバーでバリバリ壊して外した。小5の頃から好みにカスタマイズする癖がついていた。

ミヤタや丸石などの有名ブランドではなかったが、トップチューブに大仰な変速機とフロントキャリアに2灯式ランプが着いていていれば立派なジュニアスポーツ。フラッシャー機能付きの真正ジュニアスポーツに乗る友人が羨ましくなかったと言えば嘘だが、変速機を駆使してクラスの友達とどこまでも行ける自転車は素晴らしい相棒だった。小6になるとスピードメーターやサイドミラーを後付けしてゴチャゴチャとなっていった。このあたりはデコトラ発祥の地石巻ならではのカスタマイズと言えようか。

中学時代もこの自転車。買ってもらってまだ2年なので中学進学時に自転車を新しくする同級生は、金持ち以外ほぼ皆無だった。後ろの荷台に折りたたみカゴをつけてバッグを入れて走ったがバランスが悪くなるので厄介だった。バッグはもちろん、当時流行ったマディソンスクエアガーデン。バレー部の試合などで他校に行くのに使ったりした。部活が忙しくて自転車はあまり乗らなかった気がする(徒歩30分だが自転車通学は禁止)。

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高校に入ると自転車通学が許された。関東の大学に入り家を出た兄貴の自転車(フレームの大きい無印スポーツ車)に乗り換えた。そして6月ボーナス期、念願の本格スポーツ車を買うことになり、親父と一緒に中村サイクルに行った。ブリヂストン店なので、当然ながらロードマンをメインに展示していた。たしかこのRM-601。ロードマンはスプロケットのデザインを更新することでモデルチェンジしていた。

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ロードマンが好きな人・乗っていた人には悪いけれど、これには絶対に乗りたくなかった。前にも書いたが、クルマで言えばマークII(家の財力を示すだけで、クルマとしての魅力に欠けている)。もっと違う自転車に乗りたい。ほかにないかと壁に吊るされている自転車を見ていると、渋いゴールドのサイクリング車が目に止まった。ダウンチューブには幾何学的なロゴ。モノックス?

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2割引で46000円と49800円のロードマンより安かった(正価57800円なのでロードマンより格上)。26インチとホイール径が一回り小さいがフレームが大きいので当時の身長(180cm)にもぴったり。ディレーラーなどのパーツはシマノDEORE、今はMTB専用モデルとなった上級パーツの初期型が着いていた。前後に泥除けフェンダー標準装備、フロントキャリア、砲弾型ランプ、後ろにも灯火ランプが着く(リアのダイナモから並列接続)。フレームはCrMO(恐らくタンゲ製クロモリ鋼)。ボディカラーは明るい青や緑がよかったが売られていたのはゴールド現品限り。渋い色なので売れ残っていたのかも。

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今のようにいろいろ調べて買う癖はまだなく、ほかの店に見に行くこともせず1軒目で即決(うちは中村サイクル御用達なので他店で買うことはありえない)。こんな決め方ではあったが、ロードマンよりちょっといい自転車が買えたので内心ガッツポーズをしていた。

MONOXはいわゆるスポルティーフランドナーとレーサーのいいとこ取り)に当たるのだろう。さらに格上のユーラシアやアトランティスランドナー(長距離用)となる。近所の同級生3人組が、ロードマン、ユーラシア、アトランティスでわが家の前を通って通学していた。そこに俺のモノックスが加わればブリヂストン四天王勢揃いとなるが、そのためにあいつらと通学する気にはなれなかった(笑)。

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26インチ、リムは1 3/8と平凡なホイールとタイヤ。いま流行りのレーサーとはワケが違うけれど、高校生には十分すぎるスペックで、休日は市内を走り回った。1年でテニス部を辞めて美術部に移ってからは風景スケッチに適した場所を探して稲井や須江などの里山を回った(後述するカメラを手にして)。

買って半年経った頃、走っていたら急にクランクが回らなくなり激しく前転したことがあった。DEOREの変速が壊れてチェーンがスプロケに絡まっていた。すぐに中村サイクルに診てもらったら申し訳なさげにディレーラーごと無料で交換してくれた。メーカーはSIMPLEXというダサい名前。タダだならしょうがないと思ったが、あとでフランスの銘品「サンプレクス」と知った。たまたまパーツが余っていたのをくれたんだろう。別の友人は当時この店でエディメルクスを買ったというから意外とプロユース、ヨーロッパに視野を据えた店だったのだろう。今も元気で恵み野で店をやっていると聞いており頑張ってほしい。

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86年春に一浪して東京の大学に入り、MONOXを寮まで送った(門脇のバイク屋桜井輪業に頼んだ)。隣の部屋のNも郷里花巻から同じ型(同じゴールド!)のMONOXを持ってきていて、それがきっかけで親しくなった(今もバイク仲間だ)。寮から大学までの片道30分の自転車通学を楽しんだが、哀れな末路を迎えることになった。国電中央線(この頃はまだ国鉄)の某駅前西友前に停めて鍵をかけないまま離れたら盗まれてしまった。なぜか(こんなシートの高い自転車なんかに乗る奴はいない)と考えてしまった。今で言う正常性バイアスである。なんと勿体ないことをしたか。おそらく大学4年間のうちに乗り潰して捨てる運命にあったとは言え、石巻青春時代の掉尾をともに過ごした相棒とあんな形で別れるとは…。自身の愚かさをただただ呪った。

大学時代、それ以後に乗った自転車(スポーツ)は下記。

ブリヂストンRADAC(1986〜87。大学クラスメイトから2万円で購入。これもすぐ盗まれた)

・ノーブランド700cレーサー(1987〜88。立川フロムで39800円。初めての700c仏式バルブ。これもすぐ盗難)

・GT Timberline(1988〜? マルイのローンで49800円。大学で最初にMTBに乗った男となった思い出の自転車、ハテいつまで持っていたっけ?)

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※90〜2000年代はバイクばかりでスポーツ自転車には乗らずママチャリが多かった

・GIOS MTB(2008〜2010。家を建てた時にヤフオクで購入。庭に置いてあまり乗らなかった)

・中華製ミニベロ(2010〜11。3.11の時に車に積んで石巻に行った。そのまま仙台の叔母宅に置いてきた)

・MARIN MTB Muirwoods(2012〜2018。サイクルベースあさひアウトレットで。ソフトボールを始めたのでグラウンドに通うため)

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・メーカー不明スポルティーフ(2020〜現在。別記事で書く)

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この項ではモノックスについて書きたかった。石巻がこんな町ではなかった何十年も前の話。平凡な港町を平凡な高校生が自転車で走り回っていた当時のこと。ほかに思い出すことがあれば書き足してみたい。