港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

7/2(金) 客を待ちつつ無声映画

新宿バスタ発のウィラーバスで仙台へ。乗り換え時間にまた中古レコード市に立ち寄った。4月からの長期イベント、店舗入れ替え制で今回が最終クール。店に通うついでに立ち寄って10枚ほど買った。今回もこの4枚。


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1枚目には驚いた。1968年ヤードバーズ解散前(レッドツェッペリン結成前)の2枚組編集盤。この秀逸ジャケットは30年前に1万円以上した。オリジナル盤は1971年にツェッペリン人気に乗じてEPICが勝手に発売したため怒ったジミー・ペイジが訴訟を起こし回収された曰く付きレコードです(オリジナルは数十万円?)。3800円ということは1976年再発盤だろう。左肩の番号「EG 30135」でヤフオク検索すると3000〜5000円の落札相場なのでそんな感じか。それでも資料でしか見ることのなかったレコードがよい状態で買えてラッキーだった。Mark-Armond(900円)は2月に亡くなったジョン・マークを偲んで。スワンプウォーター(900円)は変形ジャケ。P.B.B.Bベスト2枚組(1200円)はヤードバーズ同様に優れたギタリスト輩出を示す好盤。なかなかいい釣果だった。

バスで石巻へ。イオンで何か買ったはずだが忘れた。店を開けて客を待つが手応えなし。時々、店の前を人を通るけれど覗きもしない。飲む店を探し歩いているのではないようだ。飲みに行きたいけれど「最近、山小屋さんは脱走してばかり」と風のウワサで聞こえたのでガマン。じっと待つのも仕事なのだ。

暇なのでDVDを観ることにした。借りていた「シビリゼーション」。アメリカの無声映画だ。日本画家の土屋禮一先生(本当はネ篇に豊)にお借りしたもの。大の映画ファンの土屋先生と小津安二郎の話になり「小津が中学の時に見て映画監督になろうと決心した映画があるんだ」と教えてくださった。数日後にわざわざ送ってくださり驚いた。これは大変、観て感想を書いてお返ししなければならぬ。観るなら店しかない、と持ち込んでいた。


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映画の詳細はhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/シヴィリゼーション_(映画)。

いやー、厳しいな。観念的、宗教的で、エンタメ性が皆無。戦争がいかに市井人を不幸たらしめるかを延々と描く。でも最後まで頑張って観た。戦争シーンが本格的で驚いた。セットも手間ひまがかかっていて、当時はこうした啓蒙的な映画が受けたのかもしれない。小津安二郎ファンを自称する人に「では『シビリゼーション』は見ましたか?」と訊くと面白い反応が見られるかもしれない(笑)。

結局ボウズ。一日がかりで石巻に帰ってこれだ。でも仕方ない。まだ2ヶ月なのだ。種まきの時季、芽が出るまで何ヶ月も待つしかない。いまは客が来ない時の時間のつぶし方を工夫するしかないなぁ。