港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

6/26(土) 看板完成。そしてなぜか大盛況

朝、店に行ったらJASRACから書類が届いていた。BGMの著作権使用契約。5/1の開店から1年間6600円也。払っている店は少ないと思うが、これで気兼ねなく音楽を流せる。払うのは著作権へのリスペクトもあるが、精神衛生のほうが強い。JASRACはいろいろ批判されているけれど、著作者や著作権者を、権利侵害から守る役割はとても重要。そういう創作環境が整ってこそ素晴らしい楽曲が生まれる。ジミヘンを見ろ。周りにギャランティの大半を奪われ失意のうちに死んでいった。あれは搾取したマネージャーや音楽出版関係者が殺したようなものだ。


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賄い昼食は前日の残り物エノキバターで焼うどん。小学校同級生、祥ちゃんのにんにくも2、3個ぶちこむ。うまいけれど、見た目がよくない。彩りを考えなきゃ。

13時からカフェタイム。常連女性客が立て続けに。共通の知り合いなので二人を放ったらかしにしてテーブルで看板製作開始。


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実はノープラン。どうやって作るか考えながら作業してゆく。最終的にはロゴのカッティングシートをアクリル板に貼るわけだからと、まずはプリントしたロゴをハサミで切り抜く。それを裏返してカッティングシートの裏面に転写(ペンで輪郭を写しとる)。実はこれ、カッティングシートではなく、トイレの床や壁に貼る塩化ビニールの壁紙。ホームセンターで買ってあったがトイレはタイルのままでよいことにしたので未使用だった。木目調だし耐水性もあるし代用可能だろう。

シートをハサミで切り抜いてアクリル板に置いてみる。やや文字が小さいが、余白が多いほうがつつましくて良い。元のロゴを見ながらシールを剥がして貼り付けていく。電飾看板は表と裏があるので2枚必要だ。乳白の透ける板なので重ねれば同じ位置に貼れる。このアクリル板はAmazonで購入。サイズ指定カット、2枚で4000円ぐらいだったか。

客2人は1時間ほどで帰り、その後も作業続行。カフェタイムが終わる頃にほぼ完成した。電飾看板の山小屋は1階なので一番下になる。板を止めているアルミフレームのネジをドリルドライバーで外して、前の「クリスタル」とお別れ。そこにアクリル板2枚をはめこんでネジを止めれば完成。ここは暗くなったら自動で点灯する。夜が楽しみだ。


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ドアの脇、ランプ下の看板も修復。リサイクルショップで100円で買った写真額のコルク台紙に赤いマジックでロゴを書き入れて後ろをテープで留めたのだが雨水が入り込んでカビが生えてしまった。これはこれで味があるが(笑)。


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先ほどのビニールシートをガラス板の表全面に貼り、ロゴをカッターで切り抜いた。抜いた裏側からシールを貼れば白抜きロゴになる。開店した月「2021.5」とマジックで書き入れて、ハイ完成。


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そのままバータイム。今日は常連さんが4名でのご予約。それだけかなと思ったら、その前に女性客2名様ご来店。インスタを見て来たという。うれしくていっぱいサービスしちゃった(笑)。遅れてご予約4名様。昼間に観慶丸で作品展示をしていた版画家の妙才さんもご一緒。今日はずいぶん賑やかだな。

そこへスマホに着信。「今から行っていいかな」。石巻専修大で仏文学を教えていたO先生(今は退官して名誉教授)だった。頼み事があると言う。カウンターに予約席のプレートを置いて、テーブルで談笑しているK子さんに「今からO先生が来るって」と伝えた。O先生は二度目のご来店。お酒が飲めないのでコーヒーを。用件はご友人の原稿を読んでほしいというもの。仏文学研究者で能の舞手という方が書いた短いエッセイだった。面白そうなので雑誌の編集者に回すことにした。あれこれ世間話をして、さて帰るかと先生が席を立つ頃を見計らって後ろにいるK子さんを紹介した。どちらも南浜町に住んでいて門小門中で同級生なのを知っていたからだ。

60年ぶりの再会。最初はお互いに思い出せなかったが、担任の先生や近所の家の名前などを言い合って「あの家の○○ちゃんか」とようやく繋がった。娘のI子ちゃんたち若い人たちも、二人が話す昔の南浜町、門脇町の話に聞き入った。いつかはこんなことがあるかもと思っていたが、思いのほか早く招来した。こんな出逢いをプロデュースしたくて山小屋を作ったのだ。帰り際にO先生が「楽しかった。ここに来ると昔に帰れるんだね」と言ってくださった。心の中でガッツポーズを取っていた。

K子さんたち4人は、60年ぶりの再会の余韻に浸っている。そこへラ・ストラーダのお二人ご来店。大盛況の予感的中。看板のおかげ お二人は飲めないのでコーヒーを。4名様とも顔見知りなので盛り上がる。そこへ今度は見知らぬ年配男性客がふらりと。「一見(いちげん)でも大丈夫かい?」はいどうぞ。前を通りかかったらしく、これぞ本当のフリー客だ(インスタやブログを読んで来た客とは区別したい)。北海道まれで中部の大学に入り紆余曲折を経て石巻にいるという人生の先輩といろいろお話しできて楽しかった。カウンターの中に立って、こういう見知らぬ客人の相手を満足にできるのか、自分でも不安だったが、特別なコツなどいらない。相手をリスペクトし、人として素直に接すればよいこと。普段から飲み屋の客同士の交流で慣れてはいる。微妙に違うけれど、大きく変わるわけでもない。あとは他の客への気配りができれば大丈夫だろうと考えている。たいがいの話題にはついていける。

4名様お帰り。最後にラ・ストラーダの二人が残った。YさんがDVDに興味津々なので秘蔵のライブをかけたらとても喜んでくれた。英BBCの伝説の音楽番組「Old Glay Whistle Test」。Aさんもこのあたりの80'sが好きなようで楽しんでもらえた。0時を回って看板。二人を見送りがてら店の外に出ると、夕方作った看板が皎々と輝いていた。


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上のBUGの白い看板とかぶっているのでもう少し色を加えたほうがいいな。前の「スナッククリスタル」の青い看板は良くも悪くも、この古井戸通りの印象を強く与えていた。六文銭、あるいは紅の側からこの横丁を覗いたときに「スナック○○」の看板が見えるのと「山小屋」という看板が見えるのとでは印象がかなり違うはずだ。なんか面白そう、と思ってくれればいい。お向かいの「スナックわがまま」の赤い看板が今なお強烈なのでそれに負けない体勢を作らねばならぬ。はっぴいえんど、GAIN SONG、Bug、そして山小屋の、非スナック弱小連合だけれど、この古井戸通りから新しい風を吹かせたい。

やっぱり看板は大事だね、Sちゃん。