港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

酒場考(試論)

開業ノウハウを書いた本を買って読んでもよいが、その前にブログはないかと探して見つけたのがこれ。

「実際にバー経営をした観点から生活できるレベルの利益と売上げを考えてみた」

https://www.sakaduki.net/how-to-pub/bar-operating-profit/

なかなか面白い。最初の店は居抜きに限るとか、酒は割りものがよいとか、実践的な内容でよかった。読み終わって無性に店がやりたくなった。早速H先輩にブログURLを送ったがきっと読んでないだろう。新しい挑戦への姿勢とか段取りとかが違いすぎるようだ。

Hさんはとにかく店に金をかけようとする。やれ壁紙がどうとか、やれドアがどうとか、やれグラスがどうとか。なんど嗜めてもダメだった。下手にカッコつけて内装に凝ると初期投資が嵩み無理して回収しようと悪循環になるってのに。

あのビルのトイレは和式。それでよいと思う客層でよいと割り切ればよいのに、工事してウォシュレットにしないと女子が嫌がると言う。いきなり女子がワンサカ来る前提。その自信はいったいどこから来るのか?

俺が志向するのは安酒バーだ。石巻に住んでる金のない若い人とコミニュケーションしたい。見た目にこだわらない大人の酒飲みでもよい。どちらもうす汚い内装には抵抗ないはず。津波でやられた家や店の片づけで経験済みだからね。

それは措いて、本当に店をやるとしよう。そこになぜ客が来るのか? その店がほかにはない楽しい空間でなければいけない。ではそのために何を提供するのか? 飲み食いにこだわっても無駄だろう。美術、文学、音楽、クルマ、バイク、店主のあらゆる特異性を前面に打ち出す必要がある。あのオッさんなら楽しい話が聞けそう、俺の話を聞いてくれそう、という期待感だ。それを裏切らない店主なら、内装や料理などどうでもよいのである。

俺は東京でも石巻でも1人飲みばかり。どういう店に行くか? そこに行けば楽しい自分が思い浮かぶ店ばかり。つまり過去に成功体験を持っているのだ。「客に成功体験をさせる」ことこそが繁盛する秘訣と言える。