港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

1986年4月5日、西友ひばりが丘店。

一浪の末東京の某大学への入学を許され、何も考えず寮生活を選びました。その寮のこと(いろいろあった)はとても書ききれませんが、上京したら存分に中古レコードを漁ろうと考えていた僕は、東京で暮らせることを心底喜んだものです(年間50枚のコレクションを課した。貧乏学生にはこれが限界)。
上京した翌日、従姉の結婚式に出るため四谷まで出かけることになりました。四谷がいったいどこにあるのかわからないまま「まあいいや、中古レコード屋でも寄って行こう」と早めに出たはいいけれど、やっぱりどこへ行けばいいかわからず、行った先は西部池袋線の急行停車駅「ひばりが丘」駅前の西友。多分電車から垂れ幕でも見つけたのでしょうが、この西友ひばりが丘店の催事場が、上京して最初に訪れたレコード店だったのです。
1枚は前述のとおりTHE MOODY BLUES「Every Good Boy Deserves Favour」(1971)

Every Good Boy Deserves Favour (Hybr)

Every Good Boy Deserves Favour (Hybr)

上京以前から、見つけたら即買いと思っていました。このアルバムのどこに惹かれたかは思い出せません。田舎でYESやKING CRIMSONを聴きまくっていたので、大学生になって何か変化をつけたかったのかもしれません。友人へのプレゼントCD - 人生皿回しのごとしを参照してください。
以下、その時に買ったメモリアル・レコード。
TEN YEARS AFTER「A Space in Time」(1972)
Space in Time

Space in Time

TEN YEARS AFTERはリーダーALVIN LEE[g]の速弾きで人気を博し、ウッドストックフィルモアにも出演しましたが、70年代に入りDEEP PURPLELED ZEPPELINらHRバンドの後塵を拝しそのまま失速していきました。聴衆に「I'm Going Home」のような“ロケンロール”ばかり要求され、オリジナリティーを確立できなかったのでしょう。ALVINもなぜかリスペクトされませんでした(ちゃんと評価してあげたいギタリスト)。上記はTYAのベストセラーアルバムですが、今にして思えばブルーズなのかプログレなのかどっちつかずのサウンド。それでもブリティッシュ初心者の僕は、このドヨ〜ンとしたTYA特有の重たい音を素直に「かっけ〜!」と思いました。このアルバムを機に「ブリティッシュネス」を愛する血が沸いたんだと思います。決して名盤ではないけれど、銘記すべきアルバム。
PINK FLOYD「Relics」(1971)
Relics

Relics

上記はリマスター盤で、実際に買ったジャケットはこっち→Pink Floyd Relics Korean vinyl LP album (LP record) (307443)
ほんとうは牛のジャケットで有名な「Atom Heart Mother(邦題:原子心母)」を買いたかった。もし西友ひばりが丘店に「Atom…」があったら、今では希少(?)なこの編集盤を手に入れることはなかったでしょう。すごいぞ、西友! 初期PINK FLOYDの退廃的なサウンドを楽しむにはうってつけで、奇怪なジャケもGOOD。寮の部屋に自慢げに飾っていたっけ。実は70年代のPINK FLOYD代表作(「Dark Side of the Moon」「Animals」等)は未だに聴いていません(他意はなし)。そろそろ聴いとかないとヤバいかな…。
ERIC BURDON & THE ANIMALS「Eric is Here」(1967)
Eric Is Here

Eric Is Here

ラジオで聴いて好きになった「HELP ME GIRL」が入っていたので買いました。以前の日記で絶賛したNEW ANIMALSの中でも、やはりこの1stが一番好きですね。ほかのアルバムにはERICの暴力性が窺えるのに、これはどこか内省的でそうした激しさは皆無。「Mama Told Me(Not To Come)」はTHREE DOG NIGHTも十八番にしてましたね。カナダのOne-Way盤もいつの間にか廃盤状態。CDでもアナログでも見つけたら即買うべし。
STEVE MILLER BAND「グレイテストヒッツ(不詳)」(1984?)
80年代に「Abracadabra」がヒットしたときの国内企画盤と思われます(最近売却したもので詳細不明)。STEVE MILLER BANDはJEFFERSON AIRPLANEやMOBY GRAPE、SONS OF CHAMPLINと並んでSan Franciscoを代表するバンド。ジャケット写真(STEVEがギターにかじりついている)だけでも、と思ったのですがどこにも見当たらないので現代の編集盤を紹介しておきます。
Young Hearts: Complete Greatest Hits

Young Hearts: Complete Greatest Hits

最初聴いてもあまりピンときませんでしたが、このレコードを端緒にシスコサウンドを志向していったことは確かです。BOZ SCAGGSも参加している60'sのオリジナルアルバムは必聴。
以上、5枚。今でもちゃんと覚えています。この5枚から、その後の長い“衝動買い”人生が始まったのですから。ちなみに従姉の結婚式には、1時間以上も遅刻して親戚一同からこっぴどく怒られました(笑)。