港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

hmvからCDが届きました。

日記を書く中でいろいろ調べている最中に「え、こんなの出てたの?」と、日記の執筆をよそにネットショップで数枚買いこんでしまうことがよくあります。今回はHARVEY MANDELの2in1発見が発端。そこからなぜかブリティッシュブルーズのほうへ食指が延びて行きました。

The Blue Horizon Story...Vol.1

The Blue Horizon Story...Vol.1

↑2731円(3枚組)。Blue Horizonは60's英国ブルーズを語る上で欠かせないブルーズ専門レーベル。この3枚組はFLEETWOOD MACやCHICKEN SHACKなど代表的なバンドを網羅した英国ブルーズ入門盤になっています。レーベル設立者のMIKE VERNON自身による長文ライナーノートも読み応えありそう。ここに収録される全アーティストのアルバムを制覇するには、あと30年もあれば何とかなるでしょうか…。VOL.1とのことですがVOL.2はまだのようですね。楽しみです。
ザ・コンプリート・ブルー・ホライズン・セッションズ

ザ・コンプリート・ブルー・ホライズン・セッションズ

↑2731円(2枚組)。60年代当時英国で流行った米国ブルーズマンと若手ミュージシャンとのセッションのひとつでしょうか。寡聞にしてこのGEORGE SMITHを今まで知りませんでしたが、ブルースハープ奏者としてソコソコ有名なようです。
Now You Can Talk About Me

Now You Can Talk About Me

ただここまでくると米国のブルーズマンだったら誰でもよかった、という感がなくもありません。ERIC CLAPTONTHE YARDBIRDS時代に競演したSONNY BOY WILLIAMSONのことを「実はあまり尊敬していなかった」と漏らしています。SONNY BOYはすばらしいブルーズマンですが、実際のところは玉石混交だったのかもしれません。
さてこのBACON FATは上記Blue Horizon所属で骨太のブルーズを聴かせます。71年の2nd「Tough Dude」は中古盤でも入手しやすいですが、70年の1st「Grease One For Me」は一度も見たことがありません。こちらもぜひ聴いてみたいです。
Hoochie Coochie Men/History ..

Hoochie Coochie Men/History ..

↑6322円(4枚組)。全98曲の決定版BOX。サブタイトルに1955-2001とあるように“スキッフルの父”LONNIE DONEGANに始まり、“PETER GREENの正統なる後継者”GARY MOOREに終わっています。よくあるホワイト?ブルース的な編集盤とも違ってFOGHATやMICK FARRENなども入り、ヴァラエティー豊かな編集はさすがINDIGOレーベル。このBOXを聴くだけでも、一大ムーヴメントであった「英国ブルーズ」の姿がぼんやりと捉えられそうな気がします。
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一応、このあたりを専門領域と自認しています。英国の若者が米国の黒人ブルーズに耽溺し、60-70'sのロックに一台センセーションを巻き起こした「ブリティッシュブルーズ」とはいったい何だったのか――? この謎を解くことが僕のライフワークです。もちろんそうしたムーヴメントには商業主義的な側面もありますが(前述した数々の英米セッションは、才人GEORGEO GOMELSKIによる企画?商才によるもの)、ミュージシャン同士の、国?世代?人種を超えた、精神的?音楽的な連帯を見出したい気もするのです。
当時の英国若手ミュージシャンが米国ブルーズをどう受けとめたかについては、MIKE FIGGIS監督によるすばらしいドキュメンタリー映画「Red, White & Blues」にも詳しく描かれていますが、
レッド、ホワイト & ブルース [DVD]

レッド、ホワイト & ブルース [DVD]

この映画に登場するミュージシャンのコメントだけではどうにも物足りません。ブリティッシュブルーズの謎に迫るべく、さらに研究を進める所存です(笑)。
カテゴリー違いですが、今回の衝動買いの発端となったHARVEY MANDELのCDも一応紹介しておきます。
Righteous / Games Guitars Play

Righteous / Games Guitars Play

↑2542円。彼ら生粋の米国ミュージシャンにしてみれば、ERIC CLAPTONやPETER GREENら英国勢ばかりがもてはやされ、あまり面白くなかったことでしょう。彼らと真っ向勝負しても十分勝てるHARVEYですが、ここでは何やらムーディーなサウンドを採り入れるなど、変化球を交えたアルバム作りになっています。70年代以降炸裂する前衛ギターサウンドはまだ片鱗を覗かせるだけですが、このギラギラ感もかっこよく、同時期のJEFF BECKと聴き比べてみるのも一興かも。HARVEY MANDEL、ぜひオススメします。
明日から夏休みです。日記はお盆明けに再開予定。皆さんもよい夏休みをお過ごしください。