港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

THE GROUNDHOGSって、どうでしょう?

残念ながら三大ブリティッシュブルーズ(FLEETWOOD MAC、SAVOY BROWN、CHICKEN SHACK)には入選しませんが、「五大」ならTEN YEARS AFTERとともに当確が出そうなTHE GROUNDHOGS。僕は大好きです。
TONY(T.S.) McPHEEという人はブリティッシュブルーズのギタリストの中でも、最も黒人ブルーズのニュアンスを持っている人のように思います。いまiPodで聴いている「Me and the Devil/I asked for Water, She Gave Me Gasoline」のカップリングは60年代中期のセッションで、かなりアコースティック寄りで、この「チャリンチャリン」という硬質な音(詳しい奏法を知りません)が小気味よいです。女性ヴォーカリストのJO-ANN KELLYとの掛け合いなど、スリリングでゾグゾクします。

ME AND THE DEVIL / I ASKED FOR WATER, SHE GAVE ME GASOLINE

ME AND THE DEVIL / I ASKED FOR WATER, SHE GAVE ME GASOLINE

その後ブルーズのムーブメントに乗じてTHE GROUNDHOGSを結成、ライブバンドとして頭角を現します(THE WHOでお馴染みLEEDS大学での公演を収めたアルバムは必聴)。T.Y.A.のALVIN LEEと同様、彼の個性が好きか嫌いかで分かれるところですが、ERIC CLAPTONにもPETER GREENにも欠落している「枯れた味わい」があります。70年代に入るとご多分に漏れずプログレ的な方向に向かいますが、悪くありません。「Thank Christ for…」などは愛聴盤です。「前衛」に向かいすぎるとロックとしてのかっこよさが失われるのですが、TONY(T.S.) McPHEEのセンスがよいのか、歪んだギターを押し出すサウンドは他者を寄せ付けません。
Thank Christ for the Bomb

Thank Christ for the Bomb

70年代後半になるとシンセを多用するので僕はダメですが、その先取精神は買います。人気はLED ZEPPELINの足元にも及びませんが、ブリティッシュの面目を見せつけた功労者の一人で、もっとリスペクトしてほしいギタリストです。