港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

フェイバリットギタリスト#3

うーん、ネタ切れだ。CD買う暇がないもので。今回は70'sブリティッシュ篇。この回が最も選抜が難しいですね。
高校の頃、ラジオか何かで70年代の三大ギタリストは、BRIAN MAY(ex.QUEEN)、STEVE HOWE(ex.YES)、MARTIN BARRE(ex.JETHRO TULL)と言っていた記憶があります(GENESISのSTEVE HACKETTもいたような)。確かに素晴らしいギタリストです。ほかにもDAVID GILMOUR(ex.PINK FLOYD)、PHIL MANZANERA(ex.ROXY MUSIC)、RORY GALLAGHER(ex.TASTE)、ROBIN TROWER(ex.PROCOL HARUM)等々が挙がると思いますが、ここはあくまで自己本位で行きます。
DAVE EDMUNDS(ex.LOVE SCULPTURE, ROCKPILE)

I Hear You Knocking

I Hear You Knocking

 

43年CARDIFF生まれ。キャリアは60年代からですが、ミュージシャンとして開花するのは70年代ですね。LOVE SCULPTURE名義の1st(68年)でERIC CLAPTONばりにブルースギターをカッコよく決めた(「Stumble」は最高!)かと思えば、2ndではプログレ路線にあっさり変更、長尺の叙情的リフを披露するなど器用にして多才、そしてギタリスト兼プロデューサーとしてパブロック全盛期を牽引していきます。この人の中に70'sブリティッシュがギュッと詰まっているといっても過言ではありません。

Blues Helping

Blues Helping

 

パブロック以後はロカビリー路線に方向転換し、CHUCK BERRYへのオマージュたっぷりの演奏を聴かせてくれます。特筆すべきテクニックこそありませんが、ギター1本で時代を走破した彼の「ギター馬鹿」的なスタイルは畏敬に値します。ポップセンスも卓抜で、この人の存在なしにその後のニューロマンティックパワーポップもあり得なかったと思います。80〜90歳まで現役でいてほしい。
BRIAN MAY(ex.QUEEN

Queen 2

Queen 2

 

47年LONDON生まれ。今はフェイバリットではなくともやはりこの人は入れておきたい。僕の洋楽人生でギタリストとして最初に名前を刻んだ人。玄人筋では評価が厳しいですが、ギターオーケストレーションという手法で世界中の音楽ファンを魅了した功績は手放しで称賛すべきでしょう。
ギターのファンタジスタというだけでなく、曲も作れるし歌もうまい、長身で端正な顔立ち、おまけに英国王立大学院で天文学博士号取得というプロフィールは、少女マンガでもためらわれるパーフェクトぶりです。「お父さんと作った手作りギターが愛器」というエピソードも鼻につく……じゃなくて(笑)、とても魅力的です。
要するに世の男どもにとっては彼の存在そのものがイヤミなわけで、ギターを褒める気になれんのです(笑)。それでも高校生だった僕には憧れの存在で、QUEENの曲の中でもBRIANの作る「Tie Your Mother Down」「Hammer to Fall」などのロックチューンが大好きでした。ギターオーケストレーションの典型は3rdの冒頭曲「Brighton Rock」で堪能できますが、あの津軽三味線みたいな弾き方は、BRIANがほんとうに「じょんがら節」に触発されてのことだそうですね。
つい先ごろ、こんな本を出しました。↓もう思い残すことはないでしょう。

BANG! 宇宙の起源と進化の不思議

BANG! 宇宙の起源と進化の不思議

 

JEFF BECK(ex.THE YARDBIRDS

ワイアード

ワイアード

 

44年WARRINGTON生まれ。そりゃ自分でもこの人選はズルいなとはと思いますよ。60's中頃から第一線で活躍し、すでにマエストロの称号を受けている人ですから。それでも「70'sブリティッシュに何が起きたか」を考えれば、彼の革命的なギターワークに想いを致さないわけにいきません。
口さがない人たちは「ただのギターフュージョン」「大したバンド歴がない」と言うかも知れませんが、そんな凡人の考えなど及びもつかない次元に彼JEFFはいるのだと思います。言わば「一音入魂」、全編にわたって命がけのギターですから、セッションも命がけを要求されます。パーマネントなバンドが持続しないのも仕方ありません(もちろんJEFFのワガママな性格も要因)。

Jeff

Jeff

 

JEFF好きの友人は「JEFFのアルバムを理解できるまで10年かかる」と言います。確かに新作が出た当初はピンと来ないのですが、何年かして「ああ、そうか」ということがあります。そろそろ次作が出てもいい頃ですね。
数年前、JEFF BECK GROUP再結成話が浮上しましたが、結局JEFFの気まぐれで流れてしまいました。ROD STEWARTも乗り気だったそうで勿体ないことをしました。人付き合いがとにかくヘタでいつも周りに心配をかけまくっているJEFF。それでも、誰よりもギターを愛し、アメ車を愛する彼こそ「永遠のギター小僧」にふさわしいのです。