港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

フェイバリットギタリスト#4

MICK ABRAHAMS(ex.JETHRO TULL、BLODWYN PIG)

MICK ABRAHAMS (3 COPIES)

MICK ABRAHAMS (3 COPIES)

1943年Luton生まれ。「アブラハムス」ではなく、もちろん「エイブラハムス」です。1968年にデビューしたJETHRO TULLの初代ギタリスト。JETHRO TULLの、ジャズともブルースともプログレッシブともつかない、独特ないぶし銀サウンドはMICKのブルージーなプレイに負うところが大きいです。年長者で老獪キャラのリーダーIAN ANDERSONと意見が合わなかったのか、MICKは1st発表後に脱退してBLODWYN PIGを結成、のちにBRAND-Xで活躍するJACK LANCASTERなど有能なホーンセクションを従え、マッチョなブリティッシュロックを聴かせてくれます。
TULL時代のインスト曲「Cat's Squirrel」が白眉(CREAMもやってる)。MICKも気に入ってるらしく自身のWebサイトでも流してます。
http://www.mickaby.freeola.com/
TULLから派生したバンドには、初代ベーシストのGLEN CORNICKが結成したWILD TURKEYなど渋いバンドが揃っています。因みにTULLがデビュー直後に出演したTV特番「Rock'n'Roll Circus」(THE ROLLING STONESがMC)では、MICK脱退後に急遽サポートに入ったTONY IOMMI(ex.BLACK SABBATH)がギターを弾いています(クレジットは何故かMICK)。MARTIN BARREが正式メンバーに迎えられるのはこの後になります。
当時レコード会社は、MICKをスーパーギタリスト的に売り出そうとしましたが、職人気質のMICKはバンドの完成度を重視、結果セールスも知名度も今ひとつとなりました(ルックスが甘いわけでもなし。パパイヤ鈴木が痩せたような風采)。それでもテクニックは超一流なので、BLODWYN PIGを細々と続けながらギター教則関連で活躍しました。
この愚直さに惚れるわけです。男気を感じるわけです。このマッチョさで、ERIC、JIMMY、JEFFとは一線も二線も画すのです。ぜひ聴いてみて下さい。
ALBERT LEE(ex.HEADS,HANDS & FEET)
Thats All Right Mama

Thats All Right Mama

1943年Leominster生まれ。並み居る英ギタリストの中でもっともカントリー寄りの人。バンジョーマンドリン、スティールギターも得意。いつもニコニコ楽しそうに弾いていて、その“軽やかさ”はどこかEDDY VAN HALENを思わせます。“泣き”もほとんどないので、重厚なブリティッシュが好きな人には物足りないかもしれません。
スターダムに登場したのは、64年にCHRIS FARLOWEのTHUNDBIRDSに参加してから。CHRISの黒っぽい声にALのカラっとしたプレイがほどよくマッチ、以後盟友関係が続きます。60年代後半を迎えてブリティッシュロックが多様化する中、CHRISがバンドを転々とする一方で、ALは69年にミュージシャン仲間とHEADS, HANDS & FEETを結成、カントリー音楽に根ざした野性味豊かなロックで存在感を示しました。
個々の技術ではBLIND FAITHなどスーパーグループに比肩するHH&Fでしたが、いかんせん趣味が渋すぎました。メンバー全員が曲を作れるマルチタレントなるも、みな大人しく個性に欠けましたね(TONY COLTONのヴォーカルも弱かった)。
ALもERIC CLAPTONのツアーギタリスト(70年代後半)を経て、カントリー色を強めた軽快なサウンドを追究、アメリカ市場で揺るぎないポジションを獲得していきます。教則本やDVDも豊富。円熟したロックを聞きたい方にオススメです。
DAVE DAVIES(ex.KINKS)
アルバム・ザット・ネヴァー・ワズ

アルバム・ザット・ネヴァー・ワズ

1947年London生まれ。何だかんだ言って、17歳で64年当時のブリティッシュロックの第一線を張ってた事実はすごいです。高校生でロサンゼルス五輪代表に選ばれた女子バレーの中田久美と思えば、その凄さもわかってもらえるかもしれません(笑)。当時17歳に過ぎなかったDAVEには、いろいろと噂(JIMMY PAGEが情報源)がありますが、まったく気にしていません。「You Really Got Me」の「ガガガグガ」というイントロの5つの音が、それ以後のロックを決定的に方向付けたと、永遠に語り継がれることでしょう。アンプのスピーカーのコーン紙をナイフで裂いた最初のギタリストがDAVEだったという逸話も、素直に信じたいのです。兄のRayとともにロック史に偉大な足跡を残したDAVEを、もう誰も悪く言わないでください。お願いします。