港町の山小屋だより

2021年5月、被災地石巻に焼酎と洋楽を楽しむBAR「山小屋」がオープン。東京でサラリーマンをしながら毎週末に石巻に帰ってバーを開く生活を続けて2年。そして2023年4月、37年ぶりに石巻にUターン。昼間の事務職とバー経営の二足のワラジを履くオーナーYがゆるーく情報発信しています。

開店ー事の発端①

コロナ禍中の盆帰省。東京からだと知る馴染みの店はみな「お客さんが嫌がるから」と拒否するなか、愛するロックバー「ハッピーエンド」(以下ハッピー)だけは歓待。ありがたや。近況を話したり、お気に入りの音楽について情報交換したりする中で、ママから「下の店が空いてるんだけど」と。

そういえば、同じ中高の先輩Hさんが定年後に店をやりたいと話していたな、と早速メールしたが反応が薄かったので、またママとの音楽話に戻った。

この時は、自分に特段関わりのある話と思っていなかった。「いつか門脇で店をやりたい」とあれだけ言ってたくせに、寿町という歓楽街で店(バーやスナック)をやるイメージは持ち合わせていなかったのだろう。

ハッピーに通いはじめて1年近く。前は広小路の東光タクシー裏にあった。よく行くバー「月夜野」と同じビルの1階。店があるのは知っていたが邦楽ロックに疎いので敬遠していた。2019年11月、台風9号の片づけボランティアに帰った時、行く店に迷いハッピーのドアを開けた。目に飛び込んできたのは膨大な量のレコードと、カウンターで芋焼酎を飲んでいるママの信ちゃん。前の店舗は津波でやられ自慢のコレクションが全部水に浸かった。いったん別のビルに運び出し、ボランティアとともにジャケット剥がし、水洗い、紙袋に入れる作業をし、数年後にこの場所で開店に漕ぎ着けだという。メディア等で紹介される有名店だったが寡聞ゆえ知らなかった。

ハッピーエンドの名前は娘さんの命名。あのバンド名ではないという。かかる音楽は俺の好みのものばかり。英米60〜70代ロック、ややSSW寄りか。この日かけてもらったのは、

Paul Butterfield 

Phoebe Snow

Steve Winwood 

It's A Beautiful Day

Randy Newman

Paul Williams 

「こんな店がやりたい」と思ったのはこの日だったかもしれない。震災後ずっと志向してのとはだいぶ違うが、震災から8年半が過ぎ自分も郷里も潮目が変わっていた。そこへ降ってわいた空き店舗情報。この数週間後にH先輩からのメールで大きく転回しはじめた。

(続く)